○医薬品の製造販売承認申請等の際に添付すべき医薬品の安全性に関する非臨床試験に係る資料の取扱い等について
(平成17年8月5日)
(薬食審査発第0805001号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
医薬品の製造販売承認申請等の際に添付すべき資料のうち、医薬品の安全性に関する非臨床試験に係る 資料に関しては、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第21号)で定める基準(Good Laboratory Practice、以下「GLP」という。)が制定され、医薬品の製造販売承認申請等の際に添付すべき医薬品の安全性に関する非臨床試験に係る資料は GLPに従って収集され、かつ、作成されなければならないこととされております。今後、当該資料のGLPへの適合性の確認等を下記により取り扱うこととい たしましたので、貴管下関係業者に対して周知徹底を図られるようお願いします。
なお、本通知の発出により、平成9年3月27日付薬審第253号・薬安第29号厚生省薬務局審査課長・安全課長通知「医薬品の製造(輸入)承認申請の際に添付すべき医薬品の安全性に関する非臨床試験に係る資料の取扱い等について」は廃止します。
1 承認申請書に添付される資料(以下「承認申請資料」という。)とGLPで規定する最終報告書との関係について
承認申請資料として用いられるGLPを適用した試験に基づき作成された承認申請資料(以下「GLP 適用承認申請資料」という。)は、GLPで規定する最終報告書と必ずしも同じものであることを意味するものではないが、最終報告書としてまとめられたもの と内容的に異なるものであってはならない。ただし、最終報告書としてまとめられたもののうち、生データ及び標本の保存場所の記載等、当該試験成績の評価に 直接関係しない部分については、承認申請資料の中に含めなくともよいこと。
なお、最終報告書との整合性については信頼性保証部門責任者又は指名された担当者による確認がなされていること。
2 GLP適用承認申請資料に添付する資料について
GLP適用承認申請資料を提出する場合には、原則として次に掲げる資料をあわせて提出させるものであること。
(1) 確認を行った信頼性保証部門責任者又は指名された担当者の氏名及び所属を記載した資料、及びGLP適用承認申請資料中の試験成績が最終報告書と整合することを確認した陳述書
(2) GLP適用承認申請資料がGLP(外国で実施された試験に基づき収集、作成された当該資料に ついては、本邦のGLPと内容的に同等以上と認められる外国で定められた基準でもよい。)に従って実施された試験に基づき収集、作成されたものであること を証する運営管理者又は試験責任者の陳述書。なお、やむを得ずGLPに適合しない方法、手順等で試験が行われた場合には、当該不適合部分及びそれが試験全 体に及ぼす影響の評価を陳述書に記載すること。
(3) 外国で実施された試験に基づき収集、作成されたGLP適用承認申請資料については、当該試験 施設がGLP(本邦のGLPと内容的に同等以上と認められる外国で定められた基準でもよい。)に従って試験を実施していることを証する当該外国政府機関又 はこれに準ずる者の文書。ただし、次の機関によりGLP適合の確認を受けた試験施設において実施された試験に基づき収集、作成されたGLP適用承認申請資 料にあっては、上記の文書の添付は要しない。
@ 「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定」の化学品に係る優良試験所基準に関する分野別附属書第B部第二節の表に掲げる当局
A 「日本国厚生労働省とスイス連邦家庭用品局との間の合意事項」の医薬品に係るスイス治療用品庁(Swissmedic,the Swiss Agency for Therapeutic Products)
なお、当該外国政府機関又はこれに準ずる者が、当該試験施設がGLPに従って試験していることを証する文書を発行しない場合には、当該試験施設に対して当該外国政府機関又はこれに準ずる者により行われた直近の調査の結果を示す報告書又はその写し。
3 GLP適用承認申請資料の受入に際してのGLP適合性の確認について
承認申請等の審査に当たっての、GLP適用試験を実施した試験施設及び提出されたGLP適用承認申 請資料のGLPへの適合性の確認については、原則として薬事法(昭和35年法律第145号)第14条第5項後段、第14条の4第5項後段及び第14条の6 第5項並びに第14条の2第1項(第14条の5第1項及び第14条の7第1項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、厚生労働省が独立行政法人医 薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)に委託する書面による調査及び実地の調査の結果に基づき行い、当該資料の承認申請資料としての受け入れの可 否を決定するものであること。その取り扱いについては下記(1)及び(2)のとおりとする。
ただし、次の場合には、厚生労働省が、別途定める調査要項に基づき、必要に応じ又は定期的に実地の調査を行うことがあること。
ア 医薬品の承認後、そのGLP適用承認申請資料について、その信頼性を確認する必要が生じた場合
イ 外国政府機関から、GLP調査の実施の要請があった場合。ただし、当該施設が機構によるGLP適合確認書を取得している場合はこの限りではない。
ウ その他、特別にGLPに従って行われた試験の信頼性を確認する必要がある場合
(1) 国内において収集、作成されたGLP適用承認申請資料について
ア 書面による調査
GLP適用承認申請資料のうち、国内のGLP適用試験施設で実施された試験に基づき収集、作成され た当該資料については、当該試験を実施したGLP適用試験施設に係る機構のGLP適合確認書(発行日が当該承認申請の日から3年以内(評価Bの場合は2年 以内))の写しと上記2の資料を当該資料と共に提出すること。
なお、上記のGLP適合確認書が発行されていない場合であっても、GLP適用試験の開始前に機構の GLP適合確認書が発行されており、当該適合確認書の有効期間内(評価Aの場合には3年、評価Bの場合には2年。GLP適合確認書の有効期間終了前に引き 続き機構のGLP適合確認書が発行されている場合には、それらのGLP適合確認書の有効期間を含む。)に当該試験が終了している場合には、当該試験の実施 期間に関係するGLP適合確認書の写しと上記2の資料を当該資料と共に提出することでも差し支えないこと。
また、医薬品の製造販売承認申請を行うより前に、機構に対してGLP適合性調査の申請を行っている が、製造販売承認申請を行う時点ではGLP適合確認書が発行されていない場合には、適合確認書に代えて機構への安全性試験調査申請書の写しを提出し、 GLP適合確認書取得後すみやかにその写しを提出すること。
なお、機構によるGLP適合性調査は、機構が定める「GLP適合性調査実施要領」に基づき実施するものであること。
また、承認申請後に平成9年3月27日付薬発第421号「薬事法等の一部を改正する法律の施行について」に示す承認申請資料の根拠となった資料その他関連資料のGLPへの適合性に関する調査を行うものであること。
イ 実地の調査
アに定める書類の写しがいずれも提出できない場合には、原則として厚生労働省が機構に行わせる実地の調査を実施することとなるので、当該医薬品の製造販売承認申請者が、GLPに関する承認申請資料適合性調査の申請を直接機構に対し行うこと。
(2) 外国において収集、作成されたGLP適用承認申請資料について
GLP適用承認申請資料のうち、外国のGLP適用試験施設で実施された試験に基づき収集、作成された当該資料については上記2の資料を当該資料と共に提出すること。
また、当該試験成績についても(1)のアに示す承認申請資料の根拠となった資料その他関連資料のGLPへの適合性に関する調査を行うものであること。
(3) GLP適用承認申請資料の承認申請資料からの除外について
GLP適用承認申請資料であって、次の各号のいずれかに該当するため、試験成績の信頼性が確認できないか又は損なわれていると判断される場合には、当該資料を承認申請資料から除外することができるものであること。
ア 上記(1)及び(2)に示す資料が医薬品の製造販売承認申請者等より提出されないか又は不十分なものと認められる場合
イ 実地の調査の結果(外国で実施された試験に基づき収集、作成されたGLP適用承認申請資料にあっ ては、外国政府機関又はこれに準ずる者の調査結果も含む。)から判断して、GLP適用試験成績が、GLPに基づき収集され、かつ作成されたものであると認 められない場合、又は、GLPに適合していると認められない場合
4 その他
医薬品の製造販売承認申請に際し、申請に係る医薬品についてその申請に係る品質、有効性又は安全性 を有することを疑わせる調査結果、試験成績等が得られた場合には、当該調査結果、試験成績等についても検討及び評価が行われ、その結果は承認申請資料に記 載されていること(薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第43条第2号)としているところであるが、この方針はGLPに適合していない調査又は試 験に対しても適用されるものであること。