○医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令の施行について
(平成16年9月22日)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)
医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器(以下「医薬品等」という。)の市場責任の一層の明確化等
を目的とした薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号。以下「改正法」という。)により、医薬品等の出荷・
上市行為に係る薬事法の規定が従来の製造業(輸入販売業)の許可制度を基本とする体系から製造業と製造販売業の許可制度を基本とする体系へ移行することと
なった。
今般、改正法第12条の2第1号に規定する製造販売業の許可要件として医薬品等の品質管理の方法に
関する基準である「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号)」(以下「GQP省令」と
いう。)が公布され、平成17年4月1日より施行されることとなった。
このため、貴職におかれては、下記事項に御留意のうえ、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏なきを期されたい。
なお、この通知において、改正法による改正前の薬事法(昭和36年法律第145号)を「旧法」と、
改正後の薬事法を「法」と、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成15年政令第
535号)を「整備政令」と、整備政令による改正後の薬事法施行令(昭和36年政令第11号)を「令」と、薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成
16年厚生労働省令第112号)を「一部改正省令」と、一部改正省令による改正後の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)を「規則」と、医薬品、医
薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)を「GVP省令」と、それぞれ略称する。
記
第1 総則(第1章関係)
1.趣旨(第1条関係)
(1) 法第12条の2第1号の規定に基づく医薬品等の品質管理の基準として、新たにGQP省令を定めたこと。
(2) GQP省令は製造販売業の許可要件であるが、新規の許可申請時には、例えば教育訓練や自己点
検等、その実績がないうちに申請がなされるものと想定される。このような要求事項については、申請者が手順書や実施計画書等をあらかじめ整備している等、
許可後直ちに実施可能な体制を構築していることをもって、当該要件を満たすものと判断すること。
2.定義(第2条関係)
(1) 「品質管理業務」、「市場への出荷」、「ロット」、「細胞組織医薬品」及び「細胞組織医療機器」の定義を定めたこと。
(2) 品質管理業務については、製造販売業者が製造販売をするにあたり必要な製品の品質を確保するために行う業務をいうものであること。なお、当該業務は品質保証部門で実施する業務のほか、他の部門で実施する業務も含まれているものであること。
(3) 第1項でいう「その他製造に関係する業務(試験検査等の業務を含む。)を行う者」とは、試験
検査業務を行う者、整備政令附則第7条の規定により原薬を製造業者に販売する卸売一般販売業者、医療機器の設計管理業務を行う者等製造販売承認書の製造方
法欄に記載された者が含まれるものであること。その他については、品質管理のために管理監督を行う必要性を考慮したうえで、製造販売業者として適切に判断
すること。
(4) 市場への出荷とは、製造販売する医薬品等すなわち最終製品を販売、賃貸又は授与のために出荷
する行為(製造販売業者と同一法人たる販売業者への最終製品の移動を含む。)をいうものであること。すなわち、市場への出荷の可否の決定を終えた医薬品等
は、販売業者において管理して差し支えないこと。
第2 医薬品の品質管理の基準(第2章関係)
医薬品の製造販売業者については、製造販売する医薬品の種類(法第49条第1項に規定する厚生労働
大臣の指定する医薬品、法第14条第2項第4号及び第18条第2項の規定に基づき厚生労働省令で定める基準(以下「GMP省令」という。)の適用を受ける
医薬品等)に関係なく製造販売業の許可要件として第2章が適用されるものであること。
1.総括製造販売責任者の業務(第3条関係)
(1) 規則及びGVP省令で規定することのほか、総括製造販売責任者が行うべき品質管理に係る業務を定めたこと。その他総括製造販売責任者が行うべき品質管理に係る個別具体業務については第11条第2項第2号で規定したこと。
(2) 第2号において、総括製造販売責任者は品質保証責任者からの報告に基づき、所要の措置を決定
し、その実施を品質保証部門等に指示を行うことが求められているが、製造販売業者は総括製造販売責任者及び品質保証責任者が業務を遂行するにあたって支障
を生ずることがないよう配慮すること。
2.品質管理業務に係る組織及び職員(第4条関係)
(1) 品質保証部門、品質保証責任者及び品質管理業務に係る組織及び職員について規定したこと。
(2) 第1項の規定は、品質管理業務を行うすべての部門等が能力を有する人員を十分に有することを求めているものである。
(3) 第1項及び第2項第2号の「業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する」とは、業務内容と実務経験及び教育訓練等を照らし合わせ能力を有する者であることを製造販売業者として判断すること。
(4) 第2項第3号の規定は、品質保証部門が行う業務について、採算性といった営業的見地からの影
響を極力排除するために設けられた規定であること。このような観点から「その他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に影響を及ぼす部門」としては、例えば販
売を促進する部門等が該当すると考えられること。
(5) 第3項第2号の規定は、医薬品に係る品質管理業務の責任者は、製品リスクを勘案し、品質管理
業務に関する経験を十分有する等、関係業務を熟知した者であるべきことから設けられた規定であること。「その他これに類する業務に3年以上従事した者」と
しては、以下に掲げる責任者及び業務に従事した者等が該当する。また、「3年以上」とは、自社、他社を問わず該当する業務の合計年数でもよいこと。
ア.総括製造販売責任者
イ.製造管理者
ウ.輸入管理者
エ.品質管理責任者
オ.製造管理責任者
カ.その他製造業の製造管理又は品質管理に係る業務に従事した者等
(6) 第3項第3号の「品質管理業務を適切に遂行しうる能力を有する者」とは、その職歴、経験年数、教育訓練状況、学歴等を総合的に考慮したうえで、製造販売業者が責任をもって任せることのできる者を指すこと。
(7) 第3項第4号の規定は、品質保証責任者が行う業務について、採算性といった営業的見地からの
影響を極力排除するために設けられた規定であること。このような観点から「その他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に影響を及ぼす」としては、例えば販売
を促進する部門等が該当すると考えられること。
(8) 第4項の「文書により」とは、品質管理業務に従事する者の責任と権限、管理体制が適切に記載
されていれば、組織図等も含まれるものであること。また、当該文書を作成した際には日付を、改訂した場合にあっては、日付、改訂事項及び改訂理由を併せて
記載する必要があること。
3.品質標準書(第5条関係)
(1) 製造販売する医薬品の品目ごとに品質標準書を作成することを規定したこと。
(2) 「製造販売承認事項その他品質に係る必要な事項」とは、例えば、GMP省令で求める製品標準
書の内容に製造業者等との取決め内容を反映させたものであること。なお、当該品目に関連する製造所等を管理監督する観点から、それらの製品標準書等との間
で内容の整合を図ること。ただし、製造方法や製造手順等においては、必ずしも製品標準書ほどの詳細な内容を求めているものではなく、当該製造所等を管理監
督する際に必要な情報が含まれていればよいものであること。
4.品質管理業務の手順に関する文書(第6条関係)
(1) 品質管理業務を適正かつ円滑に実施するため、品質管理業務手順書を作成することを規定したこと。
(2) 第1項第9号の手順とは、相互の業務分担、連絡担当者、連絡方法等の必要事項が含まれるものであること。
(3) 第1項第10号の手順とは、製造所におけるGMP適合状況の実地確認のための調査を外部委託する手順等、第1号から第9号に掲げる手順書とは別に作成するべき手順を想定していること。
(4) 第2項の規定において品質管理業務を行うその他の事務所にその写しを備え付ける場合において
は、その場所において品質管理業務を適正かつ円滑に実施するために必要な部分の品質標準書及び品質管理業務手順書(以下「品質管理業務手順書等」とい
う。)を備え付けることでよいとすること。
5.製造業者等との取決め(第7条関係)
(1) 製造業者等における製造管理及び品質管理の適正かつ円滑な実施を確保するために必要な製造業者等との取決めについて規定したこと。
(2) 取決めの方法については、契約書本体で取決め内容を明らかにする形式の他、取決め内容が外部に明らかとなる形式で定めることとしてもよいこと。
(3) 製造販売業者と製造業者が同一法人である場合においては、当該法人としての管理規定において、製造販売業者、製造業者としての関係が適切に規定されていればよいこと。
(4) 取決めは、製造業者等との二者間において個々に行うことを基本とするが、製造業者間において
取り決められている内容に製造販売業者を含む三者により取決めを行うこともよいこと。また、当面の間は、旧法の輸入販売業の許可要件である外国製造業者と
の取決め内容を活用して、製造販売業者が直接外国製造業者と取り決めるべき内容も含めた形式で、製造業の許可を取得した旧法の輸入販売業者と取り決めるな
ど、製造販売業者と当該外国製造業者との権利・義務関係に支障を来さない限りにおいて他の方法によることを否定するものではないこと。
(5) 第1号の「製造業者等」とは、製造業者、外国製造業者、試験検査業務を行う者、整備政令附則
第7条の規定により原薬を製造業者に販売する卸売一般販売業者等製造販売承認書の製造方法欄に記載された者が含まれるものであること。その他については、
品質管理のために管理監督を行うことの必要性を考慮したうえで、製造販売業者として適切に判断するべきものであること。
(6) 第1号の「範囲」及び「手順」は、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(7) 第2号の「技術的条件」は、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(8) 第3号の「定期的な確認」とは、製造開始前の確認及びその後の定期的な確認をいうこと。
(9) 第4号の「運搬及び受渡し時における品質管理の方法」は、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(10) 第5号の製造方法、試験検査方法等に係る事前連絡の方法等については、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(11) 第6号ロの「その他当該製品の品質等に関する情報」には、品質に関する情報の疑い又はおそれがある情報も含まれること。また、製造所において逸脱管理(体外診断用医薬品においては不適合製品の特別採用等)を実施した内容も含まれること。
(12) 第7号の「その他必要な事項」とは、GMP省令で求められる参考品の保管に関すること等が含まれること。
6.品質保証責任者の業務(第8条関係)
(1) 品質保証責任者の業務について規定したこと。
(2) 本条に規定するもののほか、品質保証責任者が行うべき個別具体業務については、GQP省令の各条で規定されていること。
(3) 第4号の規定は、回収、製造販売の停止その他品質に関する情報を必要に応じて、販売業者や医療機関等へも提供をすることを求めているものであること。
7.市場への出荷の管理(第9条関係)
(1) 市場への出荷の管理について規定したこと。
(2) 第1項及び第2項の「製造管理及び品質管理の結果」は、一の品目の製造にかかわるすべての製造所等において製造管理及び品質管理が適正に実施されていることを評価するためのものであること。
(3) 第2項の規定に基づき、市場への出荷の可否の決定は、製造販売業者自らが行うか、製造販売業
者の責任において国内の製造業者に行わせることができるものであること。また、製造販売業者が市場への出荷の可否の決定を行わせることができる製造業者と
は、製造に係る出荷の決定がすべて終了した医薬品を取り扱う製造業者であること。なお、製造業者と製造販売業者が連携をとって市場への出荷の可否の決定を
行うことを妨げるものではないこと。
(4) 第2項の「その結果及び出荷先等市場への出荷に関する記録」には、以下に掲げるものが考えられること。
ア.医薬品の出納記録(販売名・ロット番号・出納数量・出荷先等)
イ.製造管理及び品質管理の結果の評価に係る記録
ウ.第6項の規定に基づき提供された市場への出荷の可否の決定に影響のある品質、有効性及び安全性に関する情報の評価に係る記録
エ.市場への出荷の可否の決定に関する記録(販売名・ロット番号・決定者・決定日等)
(5) 第3項の「当該業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者」とは、第4条第3項に規定する品質保証責任者と同等の要件を満たす者であること。
(6) 第4項の「出荷の可否の決定の結果等」とは、第2項に規定する記録等を指すものであること。
(7) 第4項の報告は、品質保証責任者へ出荷可否決定に係る情報を集約し、管理させることを確保することを趣旨としたものであり、当該業務が適切に実施されているのであれば、必ずしも市場への出荷の可否の決定ごとに報告することまでは必要ないと解されること。
(8) 第5項第1号ハの規定は、手順から逸脱したときは、速やかに品質保証責任者の指示を仰ぐこと
を趣旨としたものであり、「逸脱等」とは、逸脱の疑い又はそのおそれがある場合も含むものであること。また、同号イ〜ハに関し取り決めた事項については、
GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(9) 第5項第2号の「あらかじめ指定した者」とは、業務の内容を熟知した者をあらかじめ当該業務の責任者として指定した者であること。
(10) 第5項第3号イ及びロについては、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
8. 適正な製造管理及び品質管理の確保(第10条関係)
(1) 適正な製造管理及び品質管理の確保について規定したこと。
(2) 第1項の規定は、製造販売承認の要件であり、かつ製造業者の遵守要件であるGMP省令と第7
条に規定する製造販売業者との取決めに基づき、当該製造業者等における製造管理及び品質管理が適正かつ円滑に実施されていることを定期的に確認することを
求めているものである。なお、GMP省令が適用されない医薬品の場合においては、取決めに基づいた製造管理及び品質管理が適切に行われていることを確認す
る必要があること。
(3) 第1項の「定期的に確認」とは、製造開始前の確認及びその後の定期的な確認をいうこと。
(4) 第1項及び第3項の「あらかじめ指定した者」とは、業務の内容を熟知した者をあらかじめ当該業務の責任者として指定した者であること。
(5) 第1項第1号の定期的な確認の結果、第2項第1号の規定により指示がなされたときは、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(6) 第3項第1号による評価の結果、第4項の規定により指示がなされたときは、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(7) 第5項の規定は、各製造業者等が適正かつ円滑な製造管理及び品質管理を実施するうえで必要な
品質に関する情報を、製造販売業者から各製造業者等へ情報提供することを求めているものであること。当該情報は、GMP省令で求める製品標準書への記載等
を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
9.品質等に関する情報及び品質不良等の処理(第11条関係)
(1) 品質等に関する情報及び品質不良等の処理について規定したこと。
(2) 品質情報を得たときは、第1項の規定に基づき業務を行い、品質不良又はそのおそれが判明した場合においては、速やかに第2項の規定に基づく業務も併せて行うこと。
(3) 第1項の「医薬品に係る品質等」とは、容器、被包、表示等に係る品質も含むものであること。
(4) 第1項第3号及び第5号については、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(5) 第1項第6号の規定は、品質情報のうち安全確保措置に関する情報については、安全管理統括部
門に遅滞なく文書で提供することを求めているものであること。なお、安全管理統括部門からは、GVP省令第8条第1項第2号(GVP省令第14条において
準用する場合を含む。)の規定により品質に関する情報が提供されることとされていることに留意すること。
(6) 第2項の「品質不良」とは、製造販売承認書に記載された内容その他所要の品質に適合していないことをいうものであること。
10.回収処理(第12条関係)
(1) 回収処理について規定したこと。回収処理は、製造業者等、販売業者、薬局開設者、病院及び診療所の開設者その他関係する者との連携を図り適切に実施すること。
(2) 第1号の「一定期間」とは、回収した医薬品の処置が決定されるまでの期間をいうものであること。
11.自己点検(第13条関係)
(1) 自己点検について規定したこと。
(2) 第1項の「あらかじめ指定した者」とは、業務の内容を熟知した者をあらかじめ当該業務の責任者として指定した者であること。
(3) 原則として、自己点検を行う者自らが従事している業務に係る点検に充てるべきではないと考えられること。
12.教育訓練(第14条関係)
(1) 教育訓練について規定したこと。
(2) 第1項の「「あらかじめ指定した者」とは、業務の内容を熟知した者をあらかじめ当該業務の責任者として指定した者であること。
13.医薬品の貯蔵等の管理(第15条関係)
(1) 製造に係る出荷の決定がすべて終了した医薬品について、市場への出荷の可否の決定を行い、製造販売する目的で製造販売業者の事務所において貯蔵又は陳列を行う場合における管理について規定したこと。
(2) 貯蔵又は陳列行為を行わない場合においては、本条の規定は適用されないこと。
(3) 総括製造販売責任者が当該業務を行う事務所の所在地以外の場所において、市場への出荷の可否の決定前の医薬品の貯蔵又は陳列を行う場合においては、当該場所において、医薬品製造業の許可を取得している必要があること。
14.文書及び記録の管理(第16条関係)
(1) 文書及び記録の管理について規定したこと。
(2) 品質管理業務手順書等を作成及び改訂したときには、第2号の規定に基づき、作成責任者及び作成年月日並びに改訂責任者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由をそれぞれの文書に記載しておくこと。
第3 医薬部外品及び化粧品の品質管理の基準(第3章関係)
医薬部外品及び化粧品(以下「医薬部外品等」という。)を取り扱う製造販売業者については、製造販
売業の許可要件として第3章が適用されるものであること。ただし、上記にかかわらず、令第20条第2項の規定により製造管理又は品質管理に注意を要するも
のとして厚生労働大臣が指定する医薬部外品を製造販売しようとする場合においては、第2章を準用するものであること。
1.品質保証責任者の設置(第17条関係)
(1) 第1号の「品質管理業務を適切に遂行しうる能力を有する者」とは、その職歴、経験年数、教育訓練状況、学歴等を総合的に考慮したうえで、製造販売業者が責任をもって任せることのできる者であること。
(2) 第2号の規定は、品質保証責任者が行う業務について、採算性といった営業的見地からの影響を
極力排除するために設けられた規定であること。このような観点から「その他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に影響を及ぼすおそれがない者」としては、例
えば販売を促進する部門等に属さない者が該当すること。
2.品質管理業務の手順に関する文書及び業務等(第18条関係)
(1) 品質管理業務を適正かつ円滑に実施するための品質管理業務手順書の作成及び当該品質管理業務手順書に基づき実施すべき業務を規定したこと。
(2) 第1項第6号の手順とは、自己点検に関する手順、教育訓練に関する手順、安全管理責任者との相互の連携に関する手順書等、当該製造販売業者が品質管理の業務を行ううえにおいて必要と判断するべきものであること。
(3) 第2項の規定は医薬部外品等の製造販売業者が行うべき品質管理業務を規定したものであること。具体的な内容については第2章の内容を参考にすること。
(4) 第1項第1号に規定する市場への出荷に係る記録の作成に関する手順において、回収等の所要の措置が速やかに実施できるようロットに関する記載も行うことを規定することが望ましい。
(5) 第1項第2号に規定する適正な製造管理及び品質管理の確保に関する手順においては、第10条の規定により医薬品に適用されているような業務まで求めているものではなく、消費者保護の観点から、製造販売業者として、必要があると認める確認事項につき規定すること。
(6) 第2項第1号に規定する市場への出荷に関する記録において、ロットに関する記載を行っていない品目を回収する場合には、ロットを限定することなく市場へ流通している可能性のあるすべてのロットを対象とするべきであること。
(7) 第3項の規定において品質管理業務を行うその他の事務所にその写しを備え付ける場合においては、その場所において品質管理業務を適正かつ円滑に実施するために必要な部分の品質管理業務手順書を備え付けることでよいこと。
3.準用(第19条関係)
(1) 第3条(総括製造販売責任者の業務)、第4条(品質管理業務に係る組織及び職員)、第8条(品質保証責任者の業務)、第16条(文書及び記録の管理)の部分を準用していること。
(2) 品質管理業務手順書については、第19条で準用する第16条の規定に基づき、作成及び改訂したときには、作成責任者及び作成年月日並びに改訂責任者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由をそれぞれの文書に記載しておくこと。
4.厚生労働大臣が指定する医薬部外品の品質管理の基準の特例(第20条関係)
令第20条第2項の規定により製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医薬部外品を製造販売しようとする場合においては、第2章を準用するものであること。
第4 医療機器の品質管理の基準について(第4章関係)
医療機器を取り扱う製造販売業者については、医療機器の種類(高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器等)に関係なく製造販売業の許可要件として第4章が適用されるものであること。
医療機器の品質管理については、上記第2の1.、3.、4.及び6.から14.のほか、以下によること。
1.修理に係る通知の処理(第21条関係)
修理業者から製造販売した医療機器の修理に係る通知を受けた場合においては、当該修理業者に対して、当該医療機器の適正な修理の方法その他の当該医療機器の品質、有効性、安全性の保持のために必要な事項について文書による指示を行わなければならないことを規定したこと。
2.販売業者又は賃貸業者における品質の確保(第22条関係)
製造販売しようとする医療機器の販売業者又は賃貸業者に対して、あらかじめ定めた営業所における品質確保の方法について文書による指示を行わなければならないことを規定したこと。
3.中古品の販売又は賃貸に係る通知の処理(第23条関係)
中古品の販売業者又は賃貸業者から中古品の販売又は賃貸に係る通知を受けた場合においては、当該販売業者等に対して、当該医療機器の品質、有効性及び安全性の保持のために必要な事項について文書による指示を行わなければならないことを規定したこと。
4.医療機器に係る文書及び記録の管理(第24条関係)
第16条第3号の規定にかかわらず、特定保守管理医療機器又は設置管理医療機器については、当該医療機器に係る文書及び記録にあっては、15年間の保存を求めるものであること。
5.準用(第25条関係)
(1) 第3条から第16条までの規定を準用していること。
(2) 医療機器の品質管理業務手順書には、第25条において準用する第6条第1項に規定する手順のほか、次に掲げる手順を記載すること。また、必要な場合においては、品質標準書においても次の事項に関する内容を記載すること。
ア.修理業者からの通知の処理に関する手順
イ.販売業者又は賃貸業者における品質の確保の方法に関する手順
ウ.中古品の販売業者又は賃貸業者からの通知の処理に関する手順
6.品質管理業務に係る組織及び職員(第25条で準用する第4条関係)
(1) 品質保証部門、品質保証責任者及び品質管理業務に係る組織及び職員について規定したこと。
(2) 第1項の規定は、品質管理業務を行うすべての部門等が能力を有する人員を十分に有することを求めているものであること。
(3) 第1項及び第2項第2号の「業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する」とは、業務内容と実務経験及び教育訓練等を照らし合わせ能力を有する者であることを製造販売業者として判断すること。
(4) 第2項第3号の規定は、品質保証部門が行う業務について、採算性といった営業的見地からの影
響を極力排除するために設けられた規定であること。このような観点から「その他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に影響を及ぼす部門」としては、例えば販
売を促進する部門等が該当すると考えられること。
(5) 第3項第2号の規定は、医療機器に係る品質管理業務の責任者は、製品リスクを勘案し、品質管
理業務に関する経験を十分有する等、関係業務を熟知した者であるべきことから設けられた規定であること。「その他これに類する業務に3年以上従事した者」
としては、以下に掲げる責任者及び業務に従事した者等が該当する。また、「3年以上」とは、自社、他社を問わず該当する業務の合計年数でもよいこと。
ア.総括製造販売責任者
イ.責任技術者
ウ.その他製造業の製造管理又は品質管理に係る業務に従事した者等
(6) 第3項第3号の「品質管理業務を適切に遂行しうる能力を有する者」とは、その職歴、経験年数、教育訓練状況、学歴等を総合的に考慮したうえで、製造販売業者が責任をもって任せることのできる者を指すこと。
(7) 第3項第4号の規定は品質保証責任者が行う業務について、採算性といった営業的見地からの影
響を極力排除するために設けられた規定である。このような観点から「その他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に影響を及ぼす部門」としては、例えば販売を
促進する部門等が該当すると考えられること。
(8) 第4項の「文書により」とは、品質管理業務に従事する者の責任と権限、管理体制が適切に記載
されていれば、組織図等も含まれるものであること。また、当該文書を作成した際には日付を、改訂した場合にあっては、日付、改訂事項及び改訂理由をあわせ
て記載する必要があること。
7.製造業者等との取決め(第25条で準用する第7条関係)
(1) 製造業者等における製造管理及び品質管理の適正かつ円滑な実施を確保するために必要な製造業者等との取決めについて規定したこと。
(2) 取決めの方法については、契約書本体で取決め内容を明らかにする形式の他、取決め内容が外部に明らかとなる形式で定めることとしてもよいこと。
(3) 製造販売業者と製造業者が同一法人である場合においては、当該法人としての管理規定において製造販売業者と製造業者との関係が適切に規定されていればよいこと。
(4) 取決めは、製造業者等との二者間において個々に行うことを基本とするが、製造業者間において
取り決められている内容に製造販売業者を含む三者により取決めを行うこともよいこと。また、当面の間は、旧法の輸入販売業の許可要件である外国製造業者と
の取決め内容を活用して、製造販売業者が直接外国製造業者と取り決めるべき内容も含めた形式で、製造業の許可を取得した旧法の輸入販売業者と取り決めるな
ど、製造販売業者と当該外国製造業者との権利・義務関係に支障を来さない限りにおいて他の方法によることを否定するものではないこと。
(5) 第1号の「製造業者等」とは、製造業者、外国製造業者、試験検査業務を行う者、医療機器の設
計管理業務を行う者等製造販売承認書の製造方法欄に記載された者が含まれるものであること。その他については、品質管理のために管理監督を行うことの必要
性を考慮したうえで、製造販売業者として適切に判断するべきものであること。
(6) 第1号の「範囲」及び「手順」は、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(7) 第2号の「技術的条件」は、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(8) 第3号の「定期的な確認」とは、製造開始前の確認及びその後の定期的な確認をいうこと。
(9) 第4号の「運搬及び受渡し時における品質管理の方法」は、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(10) 第5号の製造方法、試験検査方法等に係る事前連絡の方法等については、GMP省令で求める製品標準書への記載等を通じ、製造業務に適切に反映される必要があること。
(11) 第6号ロの「その他当該製品の品質等に関する情報」には、品質に関する情報の疑い又はおそれがある情報も含まれること。また、製造所において逸脱管理(不適合製品の特別採用等)を実施した内容も含まれること。
(12) 第7号の「その他必要な事項」とは、GMP省令で求められる参考品の保管に関すること等が含まれること。
第5 その他(電磁的記録等について)
1.製造販売業者は、GQP省令に規定する文書及び記録について、電磁的記録により作成し、保存することができること。また、製造販売業者は、この省令に規定する文書による報告又は指示について、電磁的記録により行うことができること。
2.製造販売業者は、第7条に規定する取決めの際の契約について、文書による契約に代えて、当該製造
業者等の承諾を得て、電子情報処理組織を利用する方法その他の情報通信の技術を利用する以下の方法により行うことができること。この場合において、当該製
造販売業者は、当該文書による契約をしたものとみなすこと。
(1) 電子情報処理組織(製造販売業者の使用に係る電子計算機と、製造業者等の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
ア.製造販売業者の使用に係る電子計算機と製造業者等の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、それぞれの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
イ.製造販売業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された契約を電気通信回線を通じ
て製造業者等の閲覧に供し、当該製造業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法(電磁的方法による契約を行う旨の承諾又は契約を行
わない旨の申出をする場合にあっては、製造販売業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
(2) 磁気ディスク、CD―ROMその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに契約を記録したものを交付する方法
3.上記2.の情報通信の技術を利用する方法により行う契約については、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならないこと。
(1) 製造販売業者及び製造業者等がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならないこと。
(2) ファイルに記録された文書に記載すべき事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
4.製造販売業者は、上記2.の情報通信の技術を利用する方法により契約を行おうとするときは、あらかじめ、当該製造業者等に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得ること。
(1) 第一項各号に規定する方法のうち製造販売業者が使用するもの
(2) ファイルへの記録の方式
5.上記4.による承諾を得た製造販売業者は、当該製造業者等から文書又は電磁的方法により電磁的方
法による契約を行わない旨の申出があったときは、当該製造業者等に対する契約を電磁的方法によってしてはならないこと。ただし、当該製造業者等が再び電磁
的方法による契約を承諾した場合はこの限りでないこと。
6.製造販売業者が製造業者等に対して文書による指示を行う場合、当該製造業者等の承諾を得て、電磁的方法により行うことができること。この場合、上記1.から5.の必要な読み替えを行った上でこれを準用すること。
第6 附則
この省令は、平成17年4月1日から施行すること。