○医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令の施行について
(平成16年12月20日)
(薬食発第1220008号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)
薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)による改 正後の薬事法(昭和35年法律第145号)(以下「改正薬事法」という。)が平成17年4月1日より施行されることに伴い、医薬品、医薬部外品、化粧品及 び医療機器の製造販売後の安全対策が強化されることとなりました。
従来から製造業者及び輸入販売業者が実施する医薬品の市販後調査については「医薬品の市販後調査の 基準に関する省令」(平成9年厚生省令第10号)(以下「GPMSP省令」という。)に基づき実施されてきたところです。改正薬事法においては、製造販売 業者が行う製造販売後の安全管理に関する基準とは別に、製造販売業者及び外国特例承認取得者(以下「製造販売業者等」という。)が行う医薬品の製造販売後 調査等の適正な実施及び製造販売後調査等の資料の信頼性の確保を図ることを目的として、新たに「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省 令」(平成16年厚生労働省令第171号)が制定されました。
医薬品の製造販売後の調査等については本基準を遵守し、適正かつ円滑に業務が実施されるよう、下記についてご留意のうえ、貴管内関係業者に対して周知徹底を図られるよう指導方御配慮願います。
なお、この省令の施行に伴いGPMSP省令は廃止します。
1 本基準が適用される医薬品について
本基準は、平成17年4月1日から施行される薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)(以下「施行規則」という。)第42条第1項第2号に規定する医療用医薬品のうち、体外診断用医薬品とパッチテスト用医薬品以外のものに適用する。
2 本基準の趣旨について
本基準は、製造販売業者等が行う製造販売後の調査及び試験に関する業務が適正に実施され、また、再審査及び再評価の申請を行う際の資料の信頼性を確保するために、遵守する事項を規定した基準である。
なお、この他の再審査及び再評価の申請添付資料の適合性基準として「医薬品の安全性に関する非臨床 試験の実施に関する省令」(平成9年厚生省令第21号)、「医薬品の臨床試験の実施に関する省令」(平成9年厚生省令第28号)及び施行規則第61条(再 審査申請資料の信頼性の基準)及び第66条(医薬品及び医療機器の再評価の申請等)に規定される基準がある。
3 本基準の適用時期について
(1) 製造販売業者等の遵守事項
平成17年4月1日以降に製造販売業者等が実施する製造販売後の調査及び試験に関する業務に対して適用される。
ただし、平成17年3月31日以前に既に実施された又は実施されている使用成績調査、特別調査及び市販後臨床試験に係る市販後調査基本計画書、市販後調査実施計画書及び市販後調査管理表については、従前の例による。
(2) 再審査申請資料の適合性
本基準は、再審査申請資料のうち、使用成績調査又は製造販売後臨床試験に係る、使用成績調査実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書が作成された日が平成17年4月1日以降の資料に適用される。
ただし、平成17年3月31日以前に既に実施された又は実施されている使用成績調査、特別調査及び市販後臨床試験に係る市販後調査基本計画書、市販後調査実施計画書及び市販後調査管理表については従前の例による。
(3) 再評価申請資料の適合性
本基準は、再評価指定の公示が平成17年4月1日以降になされる医薬品の資料の収集、作成に適用される。
ただし、平成17年3月31日以前に既に実施された又は実施されている使用成績調査、特別調査及び市販後臨床試験に係る市販後調査基本計画書、市販後調査実施計画書及び市販後調査管理表については従前の例による。
4 資料及び施設の調査・確認について
厚生労働大臣及びその委託を受けた者が、再審査及び再評価の申請添付資料が収集、作成の基準に適合しているか書面による又は実地の調査を行う。
5 本基準又はその一部に適合しない場合の取扱い
再審査、再評価の申請添付資料が本基準に適合しない場合、法第74条の2の規定に基づき、承認の取消し、又は承認を与えた事項の一部変更を命ずることがある。
6 各条について
(1) 第2条関係
@ 第2項、第3項及び第4項中、「診療において」とは、「日常の診療における医薬品の使用実態下において」という意味である。
A 第3項に定める「特定使用成績調査」は使用成績調査に含まれるものであるので、特定使用成績調査を行う場合にあっては、この省令における使用成績調査に係る規定が適用されるものである。
A 第5項の「製造販売後臨床試験」とは、治験又は承認後に実施された調査、試験等により得られた情報の評価・分析結果に基づき検出された当該医薬品の品質、有効性及び安全性に関する情報を検証するために、或いは必要な追加の情報を入手するために実施する試験をいう。
ただし、法第14条第9項の規定により承認事項の一部変更のために実施するものを除く。
(2) 第3条関係
第1項第7号の「その他製造販売後調査等を適正かつ円滑に実施するために必要な手順」には、次のようなものがある。
@ 製造販売後安全管理に係る部門やその他関連する部門との相互の密接な連携を図るため、以下に掲げる事項を含んだ連携に必要な手順
イ 製造販売前における役割とその実施に必要な手順
ロ 開発部門、製造販売後安全管理に係る部門やその他関連する部門間で必要な情報を共有するための手順
A 再審査及び再評価の申請添付資料の作成に関する手順
(3) 第4条関係
@ 第3項各号は、製造販売後調査業務等の管理に係る業務であり、製造販売後調査等管理責任者が自ら行わなければならず、第10条に規定する委託を行ってはならない。
A 同項第2号の「製造販売後調査等を行うために必要な事項」とは、製造販売後調査等業務手順書の細則として定めたもの(「製造販売後調査等業務手順書細則」という。)をいう。
(4) 第5条関係
@ 第1項第3号「製造販売後調査等の結果について製造販売業者等に対し文書により報告すること。」 とは、実施する製造販売後調査等の種類に応じ、それぞれ報告の方法、報告の期限等を定めた製造販売後調査等業務手順書に基づき報告を行うという趣旨であ り、当該報告が適正かつ円滑に行われる必要がある。なお報告の期限等については、報告される内容の緊急度、重要度などに応じて適切に設定されている必要が ある。
(5) 第6条関係
@ 使用成績調査の手順には、少なくとも次の事項を定める。
イ 使用成績調査実施計画書の作成
ロ 調査票の様式及び調査票に盛り込むべき事項
ハ 調査依頼の手順
ニ 調査票に必要事項が記載されていることの確認
A 特定使用成績調査の手順には、少なくとも次の事項を定める。
イ 特定使用成績調査実施計画書の作成
ロ 調査依頼の手順
ハ 調査票に必要事項が記載されていることの確認
(6) 第7条関係
@ 製造販売後臨床試験の手順には、少なくとも次の事項を定める。
イ 製造販売後臨床試験実施計画書の作成
ロ 調査依頼の手順
ハ 調査票に必要事項が記載されていることの確認
ニ その他「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」のうち製造販売後臨床試験の実施に当たって適用される事項に関すること
(7) 第8条関係
@ 自己点検の手順には、少なくとも次の事項を定める。
イ 対象となる製造販売後調査等業務
ロ 当該製造販売後調査等業務の自己点検を実施する者
ハ 定期的な自己点検の頻度
ニ 臨時に自己点検を行う必要がある場合の規定
A 自己点検の対象となる製造販売後調査等業務には次のようなものがある。
イ 製造販売後臨床試験に関する医療機関に対するモニタリング及び監査
ロ 上記以外の製造販売後調査に関する自己点検
ハ 製造販売後調査以外の製造販売後調査業務に関する自己点検
B 自己点検を実施する者としては、対象となる製造販売後調査等業務により異なるが、次のような者があげられる。
イ 製造販売後調査等管理責任者
ロ 製造販売後臨床試験に関する信頼性保証に係る部門の者
ハ 契約に基づき自己点検を受託した製造販売後調査等業務受託者
(8) 第9条関係
@ 製造販売後調査等業務に従事するものに対する教育訓練の手順には、次のような事項を定める。
イ 研修計画に関する事項
ロ 教育訓練の対象者及び内容に関する事項
ハ 教育訓練の結果の評価
A 製造販売後調査等業務に従事する者としては、製造販売後調査等に係る部門に属する者のほか、製造販売後安全管理に係る部門に属するような者があげられる。
(9) 第10条関係
@ 製造販売後調査等業務の委託の手順には、第10条第2項各号に掲げるものの他少なくとも受託者の能力の確認に関する事項を定める。
A 「その管理に係るもの」とは、第4条第3項に規定する製造販売後調査等管理責任者自らが行わなければならない業務である。
B 製造販売後調査等業務を委託した場合の当該業務に関する責任者は製造販売業者等である。
C 第2項第6号の規定は、製造販売業者等と受託者間において、製造販売後調査等に関する情報の提供が迅速にかつ適正に行われることが確保されることを目的としている。
(10) 第11条関係
@ 製造販売後調査等業務に係る記録の保存の手順には次のような事項を定める。
イ 保存された記録の移管に関する事項
ロ 保存資料の信頼性の保証に関する事項
ハ 保存資料の廃棄に関する事項
A 記録のうち、文書であることを求めていないもの(電子媒体など)は、記録が改変された場合にはそれが記録されるなど、一定の事項を確実に保存することができる方法による保存方法を用いることができる。