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データインテグリティ査察指摘

データインテグリティ実務対応
著者:望月清
2020/1/6 ダウンロード開始
技術誌 ケミカルタイムス(関東化学)2020年第1号に掲載。

海外規制当局や業界団体からデータインテグリティに関するガイダンスが多々発行されている。
FDAの査察指摘を読むと、どのようなデータインテグリティ指摘が査察においてなされるか把握できる。
ガイダンスを読んだだけでは判らないデータインテグリティの実務対応を、FDAの査察指摘をふまえて以下の順に紹介する。
  • データインテグリティの基礎
  • データインテグリティを危うくする要因
  • FDA査察指摘の傾向
  • ラボにおけるデータインテグリティ対応
  • データレビューのデータインテグリティ対応
  • QAによる監査証跡のレビュー
(2020/1/6記)


WHO GUIDELINE ON DATA INTEGRITY
WHO(世界保健機関)よりGXPを対象とした データインテグリティのガイドライン案 が2019/10に発出されました。
コメント提出期限が2020/1/15となっていましたのでコメントを提出しておきました。
おかしな点(再検討すべき点)、説明不足の点、意味が通じない文章、GMPにおける要件をGXP要件のごとく記載している点などなど50件程度のコメントを提出しておきました。
(2020/1/10記)


GAMP GPG 製造記録のデータインテグリティ
GAMP Good Practice Guide: Data Integrity - Manufacturing Records
2019/5/23 ダウンロード開始  (本文156頁)
$185(会員) $375(一般)

目次
QCラボにおけるFDAのデータインテグリティ指摘は定型化しつつあり、業界標準的なラボ機器に対するデータインテグリティ要件は把握しやすい。 そのため、ラボ機器のデータインテグリティ対応は画一的に行うことができる。 ラボにおけるFDAのデータインテグリティ指摘は下記のWEB連載を参考にされたい。
WEB連載:ラボにおけるERESとCSV

一方、製造においてFDAは様々なデータインテグリティ指摘を行っており、多種多様な製造装置に対するデータインテグリティ要件は把握しづらい。 そのような状況のなか、 製造記録のデータインテグリティに関するGAMP Good Practice Guide(GPG)が発出された。 製造におけるFDAのデータインテグリティ指摘はセミナーにて紹介しているので、下記サイトを参照されたい。
セミナーと書籍の紹介
(2019/5/24記)


FDAのデータインテグリティガイダンス 正式版
Data Integrity and Compliance With Drug CGMP  Questions and Answers
Guidance for Industry
2018/12/13発出 (本文13頁)


2016/4/15に発出されたドラフト版(本文10頁)がパブコメを経て最終化され、 2018/12/13付け連邦官報(Federal Register) に掲載されました。
連邦官報によると
  • 他のガイダンス同様にコメントは随時受け付ける
  • 本ガイダンスの問合せ先はKaren Takahashi氏
  • 本ガイダンスは時点におけるFDAの考えを示すものである
  • 本ガイダンスはFDAを含む何人も拘束するものではない
とのことです。

この最終版は章立て内容ともにドラフト版から大きな変化はなく(驚くような変更はなく)、説明内容が精査されたといったところです。
ドラフト版の解説は下記のWEB連載を参照ください。
   WEB連載 ラボにおけるERESとCSV 第19回

説明内容精査の例
    4.コンピュータのアクセス制限について
      小さな組織などにおいてシステム管理者権限を現場に与えざるを得ない場合の代替え戦略がドラフト版に記載されていましたが、正式版では削除されました。

    17.査察における電子記録閲覧について
      以下の説明が追加されました
      ・cGMPにおいて必要とされる全ての記録はFDA査察の対象となる
      ・その記録には以下が含まれる
         コンピュータ化システムが生成した記録
         cGMP活動を支える電子的コミュニケーション
      ・例えば、バッチリリースを承認する電子メールはcGMP記録であり
      ・FDAがレビューする可能性がある
      適切に管理された電子メールならGMP活動のエビデンスとして活用できるように思えました。
実際のFDA査察においてデータインテグリティ指摘を受けないようにするには、このガイダンスを読み込むだけでは不十分です。
FDA査察におけるデータインテグリティ指摘事例を研究することをお薦めします。
下記のWEB連載にて、FDAの国内査察におけるデータインテグリティ指摘を順次解説していますので、是非ご活用ください。
   WEB連載 ラボにおけるERESとCSV 第32回〜 

(2018/12/18記)


PIC/Sのデータインテグリティガイダンス ドラフト第3版
Good Practices for Data Management and Integrity in Regulate GMP/GDP Environments
PI 041-1 (Draft 3) 2018/11/30 52ページ

パブコメ用ドラフトが発出されました。
2016/8/10に発出されたドラフト第2版はPIC/S加盟当局と一部の団体以外にはコメントを求めませんでしが、このドラフト第3版はパブコメを広く募集します。
募集期間:2018/11/30〜2019/2/28
パブコメは所定の書式により下記業界団体経由で提出する必要があります。 (2018/12/1記)


PDA ラボのデータインテグリティ管理手順
PDA Technical Report No.80
Data Integrity Management System for Pharmaceutical Laboratories
2018/8/14(ダウンロード開始)
    目次
  1. Introduction
  2. Glossary of Terms
  3. Regulatory Trends
  4. General Considerations for the Control of Data Integrity in the Laboratory
  5. Data Integrity in the Pharmaceutical Microbiology Laboratory
    微生物ラボにおけるデータインテグリティ(8ページ)
  6. Data Integrity in the Analytical Quality Control Laboratory
    分析QCラボにおけるデータインテグリティ(30ページ)
  7. Risk Management of Data Governance Systems
  8. How to Remediate Breaches in Data Integrity
  9. Conclusion
  10. References (55文献:12件のウォーニングレターを含む)
    全63ページ
    著者
  • FDA査察官3名+民間11名=14名
  • データインテグリティに2番目に厳しい査察官が著者として名を連ねている

    所感
  • 実用書である
  • 適宜ウォーニングレターを引用して解説
  • QA、QCの方々は必読

    微生物ラボの概要
  • よりよい微生物試験のための参考になる
  • 試薬準備、消毒剤の使用、培地接種方法など微生物試験における注意事項が解説されている
  • 偽陰性にならないよう注意
    (偽陰性はレビューや査察で検出するのが難しく、高リスク)
  • 微生物試験は人手によるところが多く、データインテグリティリスクが高い
  • 微生物迅速試験法を採用すると、人手介在が減少しデータインテグリティが向上する
    微生物迅速試験法:日本PDA製薬学会  第7回微生物シンポジウム(2018/6/26)を参照
  • 環境モニタリングの節があるが、サンプリング場所や頻度には言及していない
    環境モニタリングの483指摘

    分析QCラボの概要
  • データレビュー、監査証跡レビュー、システム管理者権限、バックアップ、時刻の管理、機器使用記録(ログ)の活用、テストインジェクション、シングルインジェクション、手動解析、再解析、OOSなどについて具体的に解説
  • 良くある483指摘のかなりをカバーしている
    良くある483指摘: ファームテクジャパン2018年1月号 P.72の表2を参照
  • ラボの483指摘とあわせて読むと理解しやすい
    ラボの483指摘
  • Cloud使用時の注意事項が説明されている
    SLA、監査、サーバーの場所など
  • データインテグリティの必須要件としてではなく、参考書として読むと楽しい
    (判りづらい部分は気にしない。考え方を学び取るのがよい)
    (2018/8/19記)

    MHRA GXPガイダンス(正式版)
    MHRA 'GXP' Data Integrity Guidance and Definitions
    Revision 1: March 2018
    英国医薬品庁 GXPデータインテグリティ ガイダンスと定義 (原文)
    MHRAよりGLP、GCP。GMP、GDP、GVPなどGxPを対象としたデータインテグリティガイダンスの正式版(Rev.1)が2018/3/9に発出されました。
    内容および英語の言い回しは難解ですが、信頼できる元同僚が邦訳してくれました。(2018/4/9記)
    英国医薬品庁 GXPデータインテグリティ ガイダンスと定義 (邦訳)
    読んだだけでは判りづらい部分に対し、補足説明をしておきました。 (2018/4/1記)
    英国医薬品庁 GXPデータインテグリティ ガイダンスと定義 (補足説明)
      ■気付き事項 (2018/3/18記)
    • 6.2 生データ
      狭義の「生データ」説明となっています。
      GMPにおける生データの定義は下記に従うことをお薦めします。
      ・PIC/S GMP 第4章 文書化
      ・GMP事例集(2013年版) GMP20-5
      非臨床試験(GLP、Non-GLP)における生データの定義は下記に従うことをお薦めします。
      ・GLP省令取扱い通知(厚労省 薬食発第0613007号 2008年8月15日)
      ・FDA 21CFR Part58.3(k)
    • 6.17.2 バックアップ
      バックアップを定期的にリストアするよう求めていると誤解しやすい文章なので注意が必要です。バックアップを運用中の本番機にテスト目的でリストアするのは大変危険です。GAMP 5 Appendix O9 "Backup and Restore"を参照ください。
    GAMP データインテグリティ ガイド
    ISPEよりデータインテグリティのガイダンス(電子版)が2017年3月付けで発行され、4月4日にダウンロードが開始されました。このガイドはGAMP5の姉妹ガイドという位置づけになります。

    GAMP Records and Data Integrity Guide
    目次
    略称:GAMP RDI Guide  (152ページ)
    (2017/4/4記)

    このガイドには下記ガイダンスにおけるデータインテグリティ対応ポイントが反映されており、この1冊でデータインテグリティの全てを知ることができそうです。
    • FDAの規制(GCP、GLP、GMP、医療機器)
    • Part 11とそのガイダンス 
    • EU GMP(≒PIC/S GMP)第4章文書化 とAnnex 11
    • MHRA データインテグリティガイダンス(GMP)
    • MHRA データインテグリティガイダンス(GxP)
    • FDA データインテグリティガイダンス(GMP)
    • WHO データインテグリティガイダンス(GxP)
    • PIC/S データインテグリティガイダンス(GMP、GDP)
    GAMP RDIでは、これらガイダンスのあちこちに記載されていたことが以下の様にまとめられており、大変読みやすいです。
    • 体系的に整理
    • 要点を簡潔に記載
    • 平易な英文
    • ガイダンスからの引用を明記
    また、規制当局からは、MHRAのDavid Churchward氏、WHOのIan Thrussell氏など上記ガイダンスの中心人物の意見やレビュー結果が反映されています。
    とはいえ、152ページありますので、ガイダンスが引用されている部分を中心に斜め読みするとよいかもしれません。 (2017/4/9記)

    MHRA GMPガイダンス
    MHRA GMP Data Integrity Definitions and Guidance for Industry
    英国医薬品庁 GMPデータインテグリティ 定義と業界へのガイダンス
    原本 v1.1 2015/3 ダウンロード
    意訳 v1.1 ダウンロード 2015/3  (デジタル署名つき)
    WEB連載「ラボにおけるERESとCSV」の第13回(2016年1月)において、ガイダンスの要旨を紹介

    ★2016年4月14日に開催されたISPE日本本部年次大会において、MHRA Expert GMDP Inspector David Churchward氏がデータインテグリティの講演を行いました。
    ちょうどよい機会でしたので、「Printout are not "raw data"」について確認しておきました。動的データ(Dynamic Data)を必要としないUV吸光度測定の場合を例にとって質問をしたのですが、EMAの解釈は厳しかったです。また、「True Copy」についてもEMAの解釈を確認しておきました。なお、David Churchward氏は、MHRA査察官ブログの執筆者です。(2016/4/15記)
    「Printout are not "raw data"」「True Copy」に関するDavid Churchward氏の説明を、WEB連載「ラボにおけるERESとCSV」の第21回(2016年9月)に掲載。(2016/5/4記)

    MHRA GxPガイダンス(パブコメ用ドラフト)
    MHRA GxP Data Integrity Definitions and Guidance for Industry
    Draft version for consultation July 2016
    英国医薬品庁 GxPデータインテグリティ 定義と業界へのガイダンス

    MHRAよりGLP、GCP。GMP、GDP、GVPなどGxPを対象としたデータインテグリティガイダンスのパブコメ用ドラフトが2016/7/21に発出されました。
    ハーモナイゼーションが大切ということで、英国外からも広くコメントを求めています。 コメント期限は2016/10/31です。(2016/7/21記)

    自己点検とデータインテグリティに関するMHRAの期待
    (MHRA News and hot topics 2013/12/16)
    原文:MHRA expectation regarding self inspection and data integrity
    意訳

    "WHO" ガイダンス(正式版
    2016年5月31日に開催された 会議にて、WHOのデータインテグリティガイダンスが正式承認されました。
    Guidance on Good Data and Record Management Practices (GDRP)
    このガイダンスは、下記レポートにAnnex 5として添付されています。
    WHO Expert Committee on Specifications for Pharmaceutical Preparations
    (Fiftieth Report)
    WHO Technical Report Series, No.998 (TRS 998)


    Annex 5 GDRPは下記サイトから ダウンロード できます。
    http://www.who.int/medicines/publications/pharmprep/trs_996/en/
    (2016/6/3記)

    "WHO" ガイダンス(ドラフト)
    "WHO" (世界保健機構)より、2015年9月にデータインテグリティに関する下記ドラフトガイダンスが発出されました。
    Guidance on Good Data and Record Management Practices
    (September 2015)     Draft for Comment
    原本(35頁)ダウンロード

    データインテグリティの理念が体系的に説明されていますが、理念説明の部分はMHRAガイダンスに比べると迫力に乏しいかもしれません。
    MHRAガイダンスが参照していたFDA・GCPにおけるALCOA原則がここでも参照されています。

    第9章 "Good Documentaion Practices"には、ALCOA原則の各項目ごとに、「紙の記録」の場合の管理方法、「電子記録」の場合の管理方法が対比して記載されており、かなり実践的な内容となっています。
    第9章の説明レベルはMHRAガイダンスより具体的ですが、文章の修正・変更の余地はまだまだあるように思います。
    MHRAガイダンスを引用した説明が散見され、MHRAガイダンスを包含したガイダンスに仕上がるような気がします。
    WEB連載 「ラボにおけるERESとCSV」の第16回(2016年4月)から、第9章の要旨を3回に分け紹介。(2016/1/22記)

    FDAガイダンス(ドラフト)
    FDAより、2016/4/15にデータインテグリティに関する下記ドラフトガイダンスが発出され、パブコメを60日間(6月14日まで)募集しています。パブコメ方法はFederal Register 81 FR 22281(連邦官報)を参照ください。
    Guidance for Indsutry
    Data Integrity and Compliance With CGMP


    Q&A形式により、データインテグリティ対応のポイントが説明されています。 本文は10頁で、MHRAやWHOのガイダンスに比べるとはるかに平易な英語で記載されています。
    MHRAおよびWHOのガイダンスを読まれた方には目新しい内容はないかも知れませんが、解釈の再確認には役立ちます。データインテグリティの体系だった知識をMHRAのガイダンスとWHOのガイダンスで習得し、FDAのガイダンスで理解を深めるのがよいと思います。そして、FDAドラフトガイダンスの疑問点は、どんんどんパブコメするとよいでしょう。

    「Printout are not "raw data"」の解釈は、MHRA査察官David Churchward氏の説明より合理的だと思います。 ただし、パブコメを受けどのように最終化されるか注意が必要です。というか、EMAの厳しい解釈を緩和するような説明が入ることを期待しています。

    本ドラフトガイダンスにおけるQ&A項目は以下のとおりです。
    1. 用語
      (データインテグリティとは? メタデータとは? 監査証跡とは? 動的データ/静的データとは? バックアップとは? システムとは?)
    2. CGMPデータを判定根拠から除外してよい場合は?
    3. コンピュータ上のワークフローをバリデートする必要があるか?
    4. コンピュータへのアクセス制限はどのように行えばよいか?
    5. 共有ログインはなぜ問題なのか?
    6. 記録用紙はどのように管理すればよいのか?
    7. 監査証跡のレビュー頻度はどの程度にすべきか?
    8. 監査証跡のレビューは誰が行うべきか?
    9. 電子記録を紙記録の正確なコピーとして使って良いか?
    10. FT-IRなどのスタンドアロンラボ機器において、オリジナル電子記録ではなくプリントアウトを維持することでよいか?
    11. 手書き署名に代え、製造記録に電子署名してよいか?
    12. 電子記録はどのタイミングでCGMP記録となるのか?
    13. SSTや事前の機器調整に実サンプルを使用するとウォーニングレターで警告を受けるが、その理由はなにか?
    14. クロマトグラフィーの再解析結果だけを保存することでよいか?
    15. データ改ざんになりうる品質課題が内部告発された場合、CGMP品質システム外で処置してよいか?
    16. データインテグリティ問題を検出するための教育をCGMP日常教育に組込む必要はあるか?
    17. FDA査察官は、職員の電子記録を調査できるか?
    18. 査察において指摘されたデータインテグリティ問題に対し、FDAはどのように指導するのか?
    • WEB連載「ラボにおけるERESとCSV」の第19回(2016年7月)から4回にわけ、ガイダンス各項目の要旨説明と解説を連載。
      (2016/4/15記)
    • 本ドラフトガイダンスの対訳(意訳)ができましたので、次回セミナーより配布します。(2016/4/24記)
    • この対訳に対し、「データインテグリティ対応するにあたって疑問に思うことが明確になっており、現場教育資料として活用できそう」とのご意見が製薬会社の方より寄せられました。(Q&Aの回答根拠としてcGMPの条文が参照されおり、FDAがcGMP条文をどのように解釈しているかが判ります。2016/4/25記)
    • 本ドラフトガイダンスの対訳(意訳)ができましたので、次回セミナーより配布します。(2016/4/24記)
    • 8件ほど パブコメを提出しました。(2016/5/23記)
    • パブコメを1件追加しました。(2016/5/30記)
    PIC/S GMP/GDPガイダンス(試行用ドラフト)

    2018/6/15に発行されたPIC/S Annual Report(PS/W 2/2018)によると;
    ・PI 041-1 (Draft 3)が作成された
    ・改訂版はData Integrity WGメンバーへ再度提出される
    ・そして、業界からのコメントを求める
    2018/5に発行されたPress release「PIC/S Meetings in Geneva (Switzerland)」には詳細な説明があります。例えば;
    ・関係する業界団体から実質的なコメントを集中して集めることに委員会は合意した
    (2018/7/1記)

    PIC/Sより2016年8月10日に、データインテグリティに関する下記ドラフトガイダンスが発出されました。

    PI 041-1 (Draft 2) 2016/8/10
    GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTS
    GMP/GDPにおけるデータ管理とデータインテグリティの実践規範
    原本(41頁)ダウンロード

    (2016年11月よりWEB連載「ラボにおけるERESとCSV」において、要旨説明と解説を6回にわたり行います。)
      位置づけ
    • 査察官向けガイダンスである
      (Xproコメント:業界向けガイダンスではないといえ、参考になる点は取り込むのがよいであろう)
    • 規制義務を追加するものではなく、PIC/S GMP/GDPの要件解釈への手引きである
    • 2017/2//28まで試行し、参加当局のコメントを集める
    • 適用規制領域はGMPとGDP
    • コンピュータ化システムの査察官向けガイダンス PI 011も参照されている
      概要
    • MHRAガイダンス、WHOガイダンスの流れを汲んでおり、ALCOA-plusを採用
    • MHRAガイダンス、WHOガイダンスと同じ内容がある
    • ALCOA-plusの説明はあるものの、ALCOA項目ごとの実践規範はない
    • 実践規範は「第8章 紙ベースシステム」(10頁)、「第9章 コンピュータ化システム」((12頁)、「第10章 外部委託の場合」(2頁)ごとに説明されている。(紙ベースに対し電子と同程度の頁数をさいている)
    • 「第8章 紙ベースシステム」には、例えば以下の説明がある
        重要な工程のバッチ記録は
      • 操作の時点で指定された者がレビュー/立会すること
      • 記録をQCへ送る前に、製造の権限者がレビューすること
      • バッチリリースする前にQAがレビューし承認すること
    • 「第9章 コンピュータ化システム」には、例えば以下の説明がある
      • アーカイブの調査が必要になる場合には、アーカイブをリトリーブする手順を規定すること
      • その手順を規則的にテストすること
        (Xproコメント:リトリーブは危険を伴うので、教育訓練が必要)
    • 「第10章 外部委託の場合」
      WHO、ISPE、PDAのガイダンスにおいて業務委託先に対しデータインテグリティ対応が必要であると記載されていた。 ただし具体的方法の説明は余りなされていなかった。
      本PIC/Sガイダンスには外部委託している場合のデータインテグリティ実践規範が記載されており、大変参考になる。 電子生データはCROにあり、製薬会社には結果データやサマリデータしかない場合、定期監査によりCROのデータインテグリティを確認するのは当然である。
      PIC/Sガイダンスでは、さらなるデータインテグリティ実践規範が説明されている。例えば;
      • データの匿名化
      • リモートデータレビュー
      (2016/8/28記)

    データインテグリティ行動規範(PDA)
    米国PDA(Parenteral Drug Association)より、「データインテグリティ行動規範」が、2016年初頭に公開されました。
    Elements of a Code of Conduct for Data Integrity in the Pharmaceutical Industry
    原本(13頁)ダウンロード

    データインテグリティ対応を企業内に徹底するには、企業としての方針(ポリシー)を制定することが重要です。
    PDAの「データインテグリティ行動規範」には行動規範の下記要素が説明されており、データインテグリティ・ポリシーの雛形として活用できます。
    • データの収集・分析・報告・保存
    • 電子データ収集システム
    • 電子的アクセスのセキュリティ対策
    • 品質システムの監査
    • 不正行為の調査と報告
    • 不正行為に対する懲戒処分
    • 規制当局への報告
    • 外部委託業務および購入原料に対するデータインテグリティ
    • 職員教育
    日本PDA製薬学会ERES委員会による対訳が、2016年6月14日に日本PDA製薬学会が開催したデータ・インテグリティシンポジウムにおいて配布されました。(2016/7/17追記)

    データインテグリティ取り組み計画のポイント(ISPE)
    ISPE GAMP委員会(ISPE GAMP Community of Practice)より、「データインテグリティ取り組み計画のポイント」と題したコンセプトペーパが、2016年3月に公開されました。
    Considerations for a Corporate Data Integrity Program
    A Concept Paper by the ISPE GAMP Community of Practice
    原本(18頁)ダウンロード

    このコンセプトペーパには以下の点などが説明されており、企業においてデータインテグリティ取り組み計画を策定する助けになります。
  • 経営層の関与と支援
  • 組織横断の運営委員会
  • データインテグリティ対応をIT部門にまかせるリスク
  • 社外からのデータインテグリティ専門知識の早期導入
  • データインテグリティ対応をCSVだけに頼るのは間違い
  • CRO、CMO、SAASなど供給者の関与
  • リスクに基づく優先度
  • 継続的改善計画 など

    このコンセプトペーパには、MHRA査察官 David Churchward氏、およびFDAガイダンスの問合せ先である Karen Takahashi氏(CDER)のコメントが反映されています。
    また、データがGLP、GCP、cGMP、GVP、GDPなどの規制領域をまたがるような場合には、組織横断の効率的なアプローチが必要になるとも述べられています。 (2016/4/28記)
    WEB連載 「ラボにおけるERESとCSV」の第23回(2016年11月)から、このコンセプトペーパ「データインテグリティ取り組み計画のポイント」の概要を紹介。(2016/5/2記)

    MHRA査察官ブログ:     データインテグリティ
    Part 1(2015/6/25)     Part 2(2015/7/14)    Part 3(2015/8/27 最終回)
    第3回は、繰り返し発生しているHPLC試し打ちのデータインテグリティ課題の解決方法を提案
    WEB連載 「ラボにおけるERESとCSV」の第15回(2016年3月)において、要旨を紹介。(2016/1/22記)

    2016/7/21のブログ(D.Churchward)
    • MHRAはWHOデータインテグリティガイダンスの作成を支援した。
    • MHRAとTGA(オーストラリア当局)は、PIC/SにおけるデータインテグリティWGの共同議長を務めている。
    • GMPデータインテグリティガイダンスをGxPに焦点をあててパブコメ用ドラフトとして改訂した。
      対象はGLP、GCP、GMP、GDP、GVPであり、コメント期限は2016/10/31である。(2016/7/21記)
    FDA Level 2 ガイダンス:HPLC試し打ち指摘への対策
    HPLC試し打ちのデータインテグリティ指摘への対応策が、 FDAのLevel 2ガイダンスに記載されています。
    2004年8月の記載内容を2015年6月に改訂したようで、上記MHRAの査察官ブログと同じような内容になっています。(2016/4/1記)
    上記のHPLC試し打ちのデータインテグリティ指摘への対応策がLevel 2ガイダンスから削除されていました。
    2016/4/15に発出したFDAデータインテグリティガイダンス(ドラフト)のQ&A13に対応策を記載したために(Levl1に格上げになったために)、説明をLevel2から削除したのだと思います。
    (206/5/2記)

    EU GCP査察官のデータインテグリティ・ワークショップ
    2015年10月にEMA(欧州医薬品庁)においてEU GCP査察官むけのデータインテグリティ・ワークショップが開催され、100名以上の査察官が出席しました。GCPシステムを開発する際、「ALCOA plus CCEA」がURSに反映されていないことが問題視されました。
    ALCOA(Attributable,Legible,Contemporaneous, Original,Accurate)
    CCEA(Complete, Consistent, Eunduring, Available)
    ワークショップの詳細は MHRA査察官ブログを参照ください。(2016/4/2記)

    HPRAのデータインテグリティ指摘事例
    2015/5/12に開催された PDAアイルランド支部のデータインテグリティセミナー において、HPRA(アイルランド当局)が「データインテグリティへの期待」をプレゼンしました。
    このHPRAプレゼン「Data Integrity:A Regulator's Perspective」(40スライド)はなかなかの圧巻で、そのなかでデータインテグリティ指摘事例を紹介しています。
    このセミナーの全プレゼン資料はPDAの下記サイトからダウンロードできます。
    https://www.pda.org/chapters/europe/ireland/presentations

    TGAのデータインテグリティへの期待
    2015年7月に開催されたPDAのカンファレンスにおいて、TGA(オーストラリア当局)査察官がデータインテグリティに対する 「TGAの期待」をプレゼンしました。
    そのプレゼン資料は、TGAの下記サイトからダウンロード出来ます。
    https://www.tga.gov.au/tga-presentation-given-pda-conference-july-2015

    データインテグリティ・コンサルティング

    公開セミナー :下記邦訳を提供しています
  • HPLC試し打ち指摘とその対応
  • MHRAのデータインテグリティ・ガイダンス(意訳)
  • WHOのデータインテグリティ・ガイダンス(Appendix1 邦訳)
  • FDAのデータインテグリティ・ドラフトガイダンス(意訳)
  • FDAのデータインテグリティ・ドラフトガイダンス(解説)
  • PIC/Sのデータインテグリティ・ドラフトガイダンス(要旨と解説)
  • FDA データインテグリティの是正
  • データインテグリティ入門

    インハウスセミナー(プライベートセミナー)

    ラボにおけるERESとCSV (WEB連載)
    第10回 FDAのコンピュータ指摘 2015年10月
    第11回 PIC/Sのコンピュータ指摘と要件 2015年11月
    第12回 PIC/SとFDAのデータインテグリティ指摘 2015年12月
    第13回 MHRAのデータインテグリティガイダンス 2016年1月
    第14回 データインテグリティ指摘への対応 2016年2月
    第15回 HPLC試し打ち査察指摘に対するMHRA査察官の提案 2016年3月
    第16回 WHOのデータインテグリティガイダンス(1) 2016年4月
    第17回 WHOのデータインテグリティガイダンス(2) 2016年5月
    第18回 WHOのデータインテグリティガイダンス(3) 2016年6月
    第19回 FDAのデータインテグリティガイダンス(1) 2016年7月
    第20回 FDAのデータインテグリティガイダンス(2) 2016年8月
    第21回 FDAのデータインテグリティガイダンス(3) 2016年9月
    第22回 FDAのデータインテグリティガイダンス(4) 2016年10月
    第23回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(1) 2016年11月
    第24回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(2) 2016年12月
    第25回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(3) 2017年1月
    第26回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(4) 2017年2月
    第27回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(5) 2017年3月
    第28回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(6) 2017年4月
    第29回 データインテグリティの是正(1)
    FDAウォーニングレターの常套句
    2017年5月
    第30回 データインテグリティの是正(2)
    FDAウォーニングレターの常套句
    2017年6月
    第31回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(1) 2017年7月
    第32回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(2) 2017年8月
    第33回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(3) 2017年9月
    第34回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(4) 2017年10月
    第35回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(5) 2017年11月
    第36回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(6) 2017年12月
    第37回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(7) 2018年1月
    第38回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(8) 2018年2月
    第39回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(9) 2018年3月
    第40回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(10) 2018年4月
    第41回 FDA 483におけるデータインテグリティ指摘 国内編(11) 2018年5月
    第XX回 データインテグリティ取り組みのポイント(ISPE)の概要紹介
    第XX回 データインテグリティ行動規範(PDA)の概要紹介

    コンピュータ化システムのデータインテグリティ対応 (ファームテクジャパン連載)
    第1回 データインテグリティ対応の概要:ERESとCSV 2015年8月
    第2回 PIC/Sのコンピュータ要件とデータインテグリティ査察指摘 2015年9月
    第3回 FDA査察におけるコンピュータ指摘とデータインテグリティ指摘 2015年10月
    第4回 MHRAのデータインテグリティガイダンスと査察対応 2015年11月

    FDA 483指摘に学ぶ
    ラボにおけるデータインテグリティ実務対応のポイント
    ファームテクジャパン 2017年6月 インターフェックス特集号

    FDA 483指摘140件に基づく
    データインテグリティ実務対応の留意点
     (ファームテクジャパン連載)
    第1回 コンピュータ化システムにおける実務対応 2017年12月
    第2回 FDA 483に見るデータインテグリティ指摘 2018年1月
    第3回 FDAのOOS調査ガイダンス概要と
    データインテグリティ対応 今すぐ行うべきこと行えること
    2018年2月

    ■PDA Letter データインテグリティ特集
    PDAの機関誌 「PDA Letter」2015年4月号に、20ページにわたる「データインテグリティ特集」が掲載されました。

    ■Pharmaceutical Engineering データインテグリティ特集
    ISPEの機関誌 「Pharmaceutical Engineering」2016年3月/4月号に、30ページにわたる「データインテグリティ特集」が掲載されました。(2016/4/27記)


広場の管理人:望月清(エクスプロ・アソシエイツ)